いつからかは知らないけれど
コンビニのホットスナックに時折「芋もち」が並ぶことがある。
僕はとっても好きなのだけれど、何でかレギュラーメニューにはならない。
何故なのか
何故なのか。
更に言うならば、何故、中に何かを入れようとしてくるのだ
いや美味しいけども。明太子とかチーズとか、入れたらそれっぽくはなるけれども
僕はあの風味が好きだから、ああして味の強いものを挟まれると
その風味を殺されるようにも感じてしまう。まぁでも、買ってしまうのだけれど。
僕と彼の出会いは居酒屋だった
僕にとって居酒屋、というのは人間社会の闇と恨みを一番に感じてきた場所であるのだけど(飲めないのに高いし、だらだら長いし、でも参加しないことには人間の本質というか何たるかを感じられないし…などを感じながらも堪え忍んできた。今はそこまで考えない)
そんな場所で初めて「参加するに値する」という認識を感じさせてくれたのが芋もちだった。
場所は地元の居酒屋さん。退屈なイッキがはじまったことに白けていた頃だったか、友人が頼んだそれを手持ち無沙汰に頂いたところ
『こんな美味いものがまだこの世にあったのか!!!!』と、感動したのを覚えているし、
その向こう何週間かは芋もちのことを考えてやまず、次はいつ飲み会があるのか、とワクワクしていた。
その居酒屋がその年か次の年かに潰れたときには(芋もちがそこにしかないものだと思っていたので)、また地獄のような付き合いが始まるのか…と、それなりに絶望したものだった。
コンビニでの再会
目を疑った。
居酒屋に行かなくても芋もちが食べられる!!??
そんな甘い話があって良いのかと。
あれは居酒屋という選ばれた人間たちだけが楽しい場所に於いて、悪魔が戯れに作り出した蜘蛛の糸のようなものではなかったのか
この地上に於いてそれを垂らすことは即ち、天上世界への導きに相違ないのではないか…()
芋もちが気ままに食べられる。よりにもよってコンビニエンスストアともなれば、昼夜問わず、年中無休が通常営業。
つまりは、僕の”半永久的モチベーション(餅だけに)向上装置”の完成を意味しているのではないか
それぐらいに衝撃だったわけだけど、前述の通り、僕の好みはプレーンな中にもギッシリ身の詰まった風味を味わえる芋もちであったし、
彼はどうにもレギュラーメニューではないらしく、そんな甘い(芋だけに)話はないのだなぁと肩を落とす日々である。
組織たるもの
大手チェーンが新商品(決してここ最近の話ではないけれど)として出してくるからには、
多人数の賛成あっての発売なのだろうと思うから
似たように芋もちに心を救われた人がこの世には沢山いるのだろうなと思う。
奇しくも、潰れた居酒屋の芋もちが未だに一番美味しかったというのが解せないし、コンビニ頑張れ!といった心境ではあるのだが
この日常に喜びのかけらもない僕という人間に降ろされた蜘蛛の糸、
是非、今後ともよろしくお願いしたいと思っています。(出来ればプレーンな中身ギッシリでふわっと甘みが追っかけてくる奴)